
特別展
イタリアと日本の前衛―20世紀の日伊交流
2024年4月6日(土)~
6月2日(日)
お知らせNews
展覧会概要Overview
イタリアと日本の美術交流は、イタリア作家が美術学校の教師として日本を訪れた明治時代に始まり、150年以上続いています。本展では、西欧の作家に日本の作家が学ぶという構図を脱し、作家同士が対等なやりとりを実現していく20世紀に光を当て、現在まで日本国内に残るイタリア美術作品のルーツをたどります。
今日、日本に所蔵される20世紀イタリア美術作品は、どのような経緯でもたらされたのでしょうか。また当時、これらの作品が日本にもたらされた時、日本の人々は、どのように作品を見ていたのでしょうか。21世紀の現在から、このように問いかけることで、当時のイタリアと日本の姿が浮かび上がってくることでしょう。
イタリアの未来派と東郷青児、神原泰とのやりとりに始まり、戦後イタリアを代表する作家ルーチョ・フォンタナと、戦後日本を代表する詩人で美術批評家の瀧口修造の親交、そしてそこからさらにほかの作家へと展開していく人間関係を紐解きながら、作品と資料約100点を通して、今もなお日本に残るイタリア美術作品を見つめなおします。
出品作家
イタリア:ジャコモ・バッラ、ウンベルト・ボッチョーニ、ルーチョ・フォンタナ、ジュゼッペ・カポグロッシ、マリノ・マリーニ、ブルーノ・ムナーリ、エンリコ・カステッラーニ、エンツォ・マリ、グルッポTほか
日本:東郷青児、神原泰、瀧口修造、阿部展也、豊福知徳、吾妻兼治郎、山口勝弘、宮脇愛子、高橋秀ほか
- 展覧会名
特別展「イタリアと日本の前衛―20世紀の日伊交流」
- 会期
2024年4月6日(土)― 6月2日(日)
- 休館日
月曜日 ※4月29日(月・祝)、30日(火)、5月6日(月・休)は開館、5月7日(火)は休館
- 開館時間
9:30 ― 17:00 ※ 5月2日(木)、3日(金・祝)、4日(土・祝)、5日(日・祝)は19:00まで開館
- 観覧料
一般1,500円(1,200円)高校生以下無料
※( )内は前売りまたは有料20名以上の団体料金- 会場
ふくやま美術館 1階企画展示室(広島県福山市西町二丁目4番3号)
- 主催
(公財)ふくやま芸術文化財団 ふくやま美術館、福山市、中国新聞備後本社
- 後援
外務省、駐日イタリア大使館、イタリア文化会館-大阪、(公財)日伊協会、広島日伊協会
見どころPoint
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1
ふくやま美術館の特色のひとつ「20世紀イタリア美術コレクション」を通して日伊交流を振り返る!
当館には、100点以上ものイタリア美術作品が所蔵されています。一部の作品は、1950~60年代頃、さまざまな人の手を介して日本にもたらされました。本展では、主にこの時代に日本に渡った作品に着目し、当時の日本が切り取った20世紀イタリア美術を展観します。 -
2
国内の20世紀イタリア美術コレクションが福山に集結!
当初から独自のネットワークによって収集されてきた新潟所蔵の作品が、日本を横断して福山に集結します。新潟のコレクションの背景には、同地出身の作家、画廊、コレクターが連携し、イタリアを含む国際的な作品を紹介しようという意気込みがありました。今日の目から見ても、こうした姿勢からは地方から日本全国、ひいては世界へ発信しようという強い意志が感じられるでしょう。 -
3
イタリアを通して戦後日本美術をたどる
戦後、海外渡航への門戸が開かれる中で、作家個人同士の交流も行われます。日本からは、瀧口修造に始まり、彼を慕う若手作家たちがイタリアに渡っていきました。彼らの足跡からは、当時のイタリア美術に対する日本人の評価や、イタリアで過ごす中で自らの「日本人」としてのアイデンティティを今一度見つめなおす様子をたどることができます。 -
4
貴重な資料が初公開!
当時のイタリアでは、作家同士が記念に自らの作品をプレゼントしあう習慣がありました。このことで、日本作家の作品がイタリア作家に、イタリア作家の作品が日本作家の手元に残ることになります。本展では、今日にのこるそれらの作品と、彼らが近況を伝えあう直筆の手紙など、初公開のものも含む貴重な資料を出展します。合わせて、当時の交流関係を示す資料通して、作家の人物像がより鮮明に浮か上がってくることでしょう。
構成Chapter
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はじめの一歩―イタリアと日本の未来派
日本とイタリアの同時代的な交流は、20世紀になり日本からの海外渡航が可能になったことで実現します。最初の例として、本章では、1920年代にイタリアで興った美術運動「未来派」を取り上げます。日本では、実際にイタリアに渡り未来派展に参加した東郷青児や、マリネッティと書簡のやりとりをした神原泰がいました。
展示作品
- ジャコモ・バッラ《輪を持つ女の子》1915年、ふくやま美術館
- ウンベルト・ボッチョーニ《カフェの男の習作》1914年、ふくやま美術館
- 東郷青児《帽子をかむった男(歩く女)》1922年、名古屋市美術館
- 神原泰《ヴェルレーヌの「女と猫」》1923年、大原美術館
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ジャコモ・バッラ《輪を持つ女の子》1915年 ふくやま美術館
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フォンタナと瀧口修造
第二次世界大戦後、より多くの人々が、観光や留学など様々な理由で日本からイタリアを訪れます。詩人で美術批評家の瀧口修造もその一人で、ヨーロッパを巡り、イタリアの前衛作家のルーチョ・フォンタナやブルーノ・ムナーリらと個人的に親交を結びました。実際に、イタリアで作家のアトリエを日本作家が訪れることもあり、こうした交流の記念などに作品が贈られることもありました。
展示作品
- ルーチョ・フォンタナ《空間概念ー銀のヴェネツィア》1961年、ふくやま美術館
- ジュゼッペ・カポグロッシ《表面170》1955年、ふくやま美術館
- エンリコ・カステッラーニ《無題》1964年、新潟県立近代美術館・万代島美術館
- マリノ・マリーニ《騎手のための構想・習作》1955年、新潟県立近代美術館・万代島美術館
- 宮脇愛子《作品》1960-61年、東京都現代美術館
- 吾妻兼治郎《MU-766》1876年、個人蔵
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ルーチョ・フォンタナ《空間概念-銀のヴェネツィア》1961年 ふくやま美術館
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新潟にのこる空間主義
現在、新潟県内には、20世紀イタリア美術の作品が多数所蔵されています。これは、新潟出身の作家・阿部展也と、東京画廊の画廊主・山本孝、そしてBSN新潟放送や大光銀行といった地元企業の人々が、世界の美術を日本に伝えようと尽力したことによります。作家同士の交流とは、また少し異なる日伊交流の在り方を、本章では見つめ直します。
展示作品
- ルーチョ・フォンタナ《思考》1962年、BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
- マリオ・スキファノ《2-2B》1960年、BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
- ピエロ・ドラツィオ《意識》1960年、BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
- レモ・ビアンコ《3D-視覚のデッサン》1952年、BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
- 阿部展也《作品(GREEN ECHO)》1964年、BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
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阿部展也《作品(GREEN ECHO)》1964年 BSN新潟放送(新潟市美術館寄託)
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来日した「動く芸術」
本章では、日本で展示を行ったイタリア作家を中心に取り上げます。とりわけ、「アルテ・プログランマータ」という前衛運動に参加したブルーノ・ムナーリとグルッポTに焦点を当てます。彼らは「プログラムされた美術」を目指し、実際に動いたり、操作したりする作品を制作し、電気やモーターへも関心を寄せました。彼らは瀧口修造の協力によって、日本での展覧会を実現した数少ないイタリア作家となります。イタリアと日本の 「動き」と「空間」、そして「光」に対する、作品を通したそれぞれの反応を見比べてみると、また違った側面が見えてくるかもしれません。
展示作品
- ブルーノ・ムナーリ《直接の映写》1959/1973年、特定非営利活動法人市民の芸術活動推進委員会
- ブルーノ・ムナーリ《凹凸》1985年、特定非営利活動法人市民の芸術活動推進委員会
- グラツィア・ヴァリスコ《マグネティック・タブロー》1961年、多摩美術大学アートアーカイヴセンター
- 山口勝弘《Cの関係》1965年、東京都現代美術館
- マリオ・メルツ《加速・夢・まぼろし》1972/1998年、東京都現代美術館
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山口勝弘《Cの関係》1965年 東京都現代美術館 撮影:椎木静寧
関連イベントEvents
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記念講演会空間主義(Spazialismo)の「穴」と「光」―フォンタナと日本の前衛【終了しました】
日時:4月6日(土)14:00―15:30
講師:巖谷睦月(東北学院大学准教授)
会場:ふくやま美術館1階ホール
定員:100名 ※聴講無料、当日先着順
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記念講演会「現代イタリア美術」いまむかし―「現代」が「過去」になるとき
日時:5月5日(日)14:00―15:30
講師:筒井彩 (ふくやま美術館学芸員)
会場:ふくやま美術館1階ホール
定員:100名 ※聴講無料、当日先着順
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ギャラリートーク専門家によるギャラリートーク
「フォンタナを通して見る『イタリアと日本の前衛』展」【終了しました】日時:4月7日(日)14:00―15:00
講師:巖谷睦月(東北学院大学准教授)
会場:ふくやま美術館1階企画展示室
※参加無料、特別展観覧券が必要
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ギャラリートーク学芸員によるギャラリートーク
「イタリア行ったりーあ!時空を超えてひとっとび」日時:5月4日(土・祝)17:00―18:00
5月26日(日)14:00―15:00
場所:ふくやま美術館1階企画展示室
※各回参加費無料、特別展観覧券が必要
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体験イベントワークショップ・子ども造形教室
「みんなで大きな木をつくってみよう!」紙をつかってみんなで大きな木をつくります。イタリア作家ブルーノ・ムナーリが考案したワークショップを体験し、造形感覚を育みましょう。
日時:5月25日(土)①10:00―11:30 ②13:30―15:00
講師:渋谷 清(画家/福山市立大学 教育学部教授)
会場:ふくやま美術館 1階ロビー
受講料:1,000円
対象:小学生各回25名 ※応募者多数の場合抽選 ※保護者同伴
応募方法:往復ハガキまたは福山市HP電子申請システム(4月2日(火)より応募開始)に「希望時間」「郵便番号・住所」「電話番号」「名前(保護者と子ども)」「年齢(学年)(子どものみ)」を記入し、ご応募ください。
※1名につき1通
応募先:〒720-0067 福山市西町二丁目4番3号 ふくやま美術館 「子ども造形教室」係
募集締切:5月10日(金)必着
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地域連携プログラムイタリア映画特集
本展に合わせて、3作品週替わりでイタリア映画を上映します。
場所:福山駅前シネマモード
上映日時:4月26日(金)―5月2日(木) 「丘の上の本屋さん」
5月3日(金)―5月9日(木) 「帰れない山」
5月10日(金)―5月16日(木) 「シチリア・サマー」
半券提示で相互割引も実施予定!
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アクセスAccess
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ふくやま美術館について
〒720-0067 広島県福山市西町二丁目4番3号
TEL:084-932-2345/FAX:084-932-2347
開館時間 9:30~17:00/休館日 月曜日(祝休日の場合は翌日) -
交通アクセス
● JR福山駅 福山城口(北口)から西へ約400m
● 山陽自動車道 福山東ICから西へ車で約20分 -
駐車場・駐車料金
本館南側に隣接の市営駐車場あり(有料)
※バイクの方は駐輪場をご利用ください。
※ふくやま文学館南側駐車場も利用可(有料)- ● 8:00~22:00
- 1時間までの30分毎に150円(1時間を超える30分ごとに100円)
- ● 22:00~翌朝8:00
- 1時間までごとに100円
- ● 有料展覧会をご観覧の場合は1時間無料
- 受付に駐車券をご提示ください
特別展
イタリアと日本の前衛―20世紀の日伊交流
2024年4月6日(土)~
6月2日(日)